家庭からのCO2排出量は意外に多い
増え続けているCO2排出量
日本は一人当たりの排出量が先進国の中では少ない部類に入ります。しかし、二酸化炭素の消費量はこの15年間、基本的には増え続けています (図1)。
図1. 日本の二酸化炭素排出量 | 図2. 業種別の「直接」排出量 |
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業種別に見ると(図2)、家庭排出量は余り増えていませんが、事業用発電が高い伸びを示しているのが分かります。事業用発電とは、いわゆる「電力会社」のことです。ここにある「直接」排出量とは、何かを燃やすなどして実際に二酸化炭素を排出する量のことで、石油や天然ガス、石炭発電などによって発電する限り、二酸化炭素の排出量は電力消費量に従って増えていくことになります。大量に二酸化炭素を排出する代表的な産業である鉄鋼業や、家庭では余り増えていません。
図3.業種別の「間接」排出量
図4. 間接消費量別 総排出量に絞める割合
他方、「間接」消費量という指標 (図3) もあります。これは電力などを「使うこと」を各部門に振り分けた指標です。電力会社が二酸化炭素を排出して電力を作るとしても、それを使うのは事業体や家庭です。そこで、電力使用に従って二酸化炭素の排出を振り分けます。
すると、家庭排出の二酸化炭素量は国内鉄鋼業の全体を上回ります。意外なことに、二酸化炭素を大量に排出していそうな「化学産業」は家庭が排出する量の半分以下です。
図4.は、総排出量に占める間接消費量の割合です。日本中の総排出量の中で家庭が占める割合は13%にもなります。
消費者としての電源選択
電力会社は電力を生産するにあたって、「石油,水力,風力,石炭,原子力」などを利用します。電力会社が石油,石炭の比率を減らして電力を生産してもらえれば、家庭の間接消費量も減る理屈です。
しかし消費者は、基本的にその電源を選べません。二酸化炭素の排出量が少ない「水力発電分だけを買う」ということは出来ません。
そのため、間接消費量の多さをもって、家庭部門に責任を押し付けるのは問題があるとも言えます。
ただ、家庭用太陽光発電システムは、消費者にとって数少ない「選べる電源」です。太陽光発電システムは、電力会社に対して主張できる事実上ただ一つの「電源選択」でもあります。
国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィスのデータをもとに作成
日本の温室効果ガス排出量データ(1990〜2006年度)
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